第6回おススメ本入賞者のおススメ文 第2弾!

【ぴぽちゃん賞】…5名

●よつばさん
『刑事弁護人』
薬丸岳 著【新潮社】

読み応えのある社会派ミステリーを読みたい人

圧巻。長年抱いて来た弁護士という職業に対する疑問に対し明確な回答を得た思いだ。
女性警察官が起こしたホスト殺害事件。弁護をする事になったのは弁護士の父を逆恨みにより殺された過去を持つ持月凛子。被疑者の二転三転する供述に翻弄されながらも真実を追い求めていく凛子と共に事件の真相を追い続けた。その時々で自分なら何を考えどう行動するか考えさせられる。
もし自分が被疑者の立場なら「罪を憎んで人を憎まず」とは到底思えない。ましてその母親を慮る余裕などない。憎しみの連鎖に息が詰まるが弁護士としての矜持を貫く者達に感服する。

●なおなおさん
『あるかしら書店』
ヨシタケシンスケ 著【ポプラ社】

本が苦手な人にオススメです。

なぜ本が苦手な人にオススメかと言うと、現実にはないけど、水中図書館・作家の木などめずらしいお話ばかりで、本が好きになれそうな本だからです。一年生ぐらいの時にお父さんが買ってきてくれて、おもしろいから今も読んでいます。
この本のオススメポイントはたくさんあります。例えばゆっくりめくる本という話では未来の話が書かれているけどページがくっついてしまっているから、ゆっくりめくります。イライラしそうだけどやってみたいです。
もう1つは本のその後です。現実とはちがう分別方法で作者のキモチ、色、文字とか分けて、作者のキモチは、空からまいたり、調味料にまぜられたりするのがおもしろいです。
最後は終わりの部分で、あるかしら書店にはだいたいの本はあるけど「必ず大ヒットする本の作り方」という本がありません、となって終わるのが意外でおもしろくてオススメです。

●アールグレイさん
『文体練習』
レーモン・クノー 著【朝日出版社】

楽しみを見つけたい人に

本を読む楽しみは、心を震わせるような、まだ見たこともない世界に連れて行ってくれること。たったひとつの出来事、本の半ページにも満たない内容の文章を99通りの文体で表現するこの本との出会いは衝撃的だ。
次々と現れる文体は予想を超える未知の世界。知っているはずの世界を鮮やかに超えて行く。言葉で表現することの無限とも言える多様な可能性を感じさせてくれる。どの文体も人間の有り様と営みの本質を深く洞察しているようだ。夢・新刊のご案内・古典的・女子高生・いんちき関西弁・確率論・俳諧・・・目次を眺める、それだけでも興味がそそられる。発想の卓越さと絶妙な翻訳が読む人に未知の楽しみを与えてくれる。
この本が先日豊田の丸善の店頭で紹介されているのを見て、思わず「わあ」と声を上げてしまった。自分と同じような思いを持った人がいる、そしてこの本で新たな楽しみを見つける人達がいる、そのことが嬉しくて。

●二月うさぎのお茶会さん(13152)
『らんたん』
柚木麻子 著【小学館】

進路を迷っている人へ

今年の九月、柚木麻子さんの講演会に参加する機会に恵まれた。その日は台風が近づいており、本当に開催されるのか気が気でなかったが、午前中までに特に連絡がなかったので、期待と興奮が高まる中電車に揺られていった。会場は想像以上の大盛況で、柚木さんの毒舌(?)マシンガントークに沸きっ放しの九十分は夢のように過ぎていった。終了後、お手洗いに入ったらなんとご本人が洗面台におられるではありませんか。
まさに千載一遇とはこのこと、「こんなところで甚だ恐縮ですが、ご本にサインをいただけますか?」と申し上げたところ、快く応じていただき、うさぎの絵の付いた可愛らしいサインを書いてくださった。本年度一番のご褒美をいただいた瞬間だった。
そんな幸福を運んでくれた『らんたん』を是非とも一読いただきたい。登場人物は全員主役級の超豪華キャスト、「ザ・大河小説」である。誰ひとり欠けても歴史は作られない、誰もが一隅を照らす力を与えられていると示してくれた物語といえよう。続編も乞うご期待!

●葉月さん
『みんな自分らしくいるためのはじめてのLGBT』
遠藤まめた 著【ちくまプリマ―新書】

世間一般の「普通」に悩んでいる方

この本をおすすめしたい理由は、LGBTについてやさしく書いてあるだけでなく、世の中の当たり前に疑問を投げかけているからです。トランスジェンダーである作者が性的少数者であるからこそ、生まれる疑問もたくさん書かれています。
その中で私がハッと気づかされた話は、「恋愛の当たり前、なんであるの?」という章の内容です。「だれもが恋愛をするものだ、という考え」「恋愛に興味がない人は『もったいない』『さびしそう』と思われがち」という文章に目が行きました。
私は今、恋愛をするよりも中国語を勉強して留学したいので、「好きな人いないの?」と言われるのが一番辛いです。自分はやりたいことがあるのに、どうして恋愛を一番に考えなければいけないのか。恋愛をしない人は「ダメ」なのか考えさせられる章です。
このように、今ある「当たり前」はどんどん時代にそぐわないものになっています。それらを考え直すきっかけになる一冊として、私はこの本をおすすめします。

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また、今回惜しくも入賞にはならなかった熱い紹介文は、こちらからどうぞ!

(※PIPOメンバーズの会員番号順になっています。)

 

今回もたくさんのご応募ありがとうございました!

入賞の本の中で、現在購入可能な本などが丸善豊田T-FACE店特設コーナーにて並んでいます!

ぜひ行ってみてね!

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