今回もたくさんのご応募ありがとうございました!
入賞者さまのおススメ文を2回に分けてご紹介します!
※第2弾はこちらから見てね!
【PIPO大賞】…1名
●雨宮樹さん
『まいまいつぶろ』
村木嵐 著【幻冬舎】
◆人間関係につかれた方におススメしたいです
口がまわらず、誰にも言葉を理解してもらえない。歩いた後には尿を引きずった跡が残るため、まいまいつぶろ(かたつむり)と呼ばれ蔑まれた第九代将軍徳川家重。
そんな家重に常に控えるのは、ただ一人彼の言葉を解する何の後ろ盾もない小姓、兵庫だった。家重の苦悩をそれを唯一解決し、皆に家重の言葉を届けてくれる兵庫の間には、将軍と部下以上の親密な関係が築かれていく。時に兵庫の話す家重の言葉を本当に彼が言ったのかと疑う者も出るが、家重は最後まで兵庫を信頼し、また兵庫も正確に家重の言葉を通訳する。
「もう一度生まれても、私はこの身体でよい。そなたに会えるのならば」という家重の言葉に読んでいて涙すること間違いなし。時代小説だからと片肘はらずに、2人の40年以上に渡る関係に、気が付けば最後まで一気に読んでしまいます。仕事等で人間関係に疲れたなと思う方、こんな主従関係もあるのかと気付かれるでしょう。一押しの一冊です。
【優秀賞】…1名
●sayuriさん(15357)
『夜更けより静かな場所』
岩井圭也 著【幻冬舎】
◆本を愛する全ての人へ
岩井圭也氏への好きが加速した。
途轍もない衝撃を受けた『文身』以来、大注目している作家さん。
作風はソフトなものから重厚な作品まで幅広く、引き出しの多さに毎回驚かされる。
本作は『文身』の重厚さは鳴りを潜めているが、ソフトな語り口の中に、刺さる言葉がたくさん散りばめられていた。
古書店で深夜に開かれる読書会。
この場所に集う男女六人の表情や仕草までが脳内で再生されるほど人物描写が秀逸。
それぞれのエピソードへの吸引力も半端ない。
本を愛する気持ちが伝わり、この本に出逢えて良かったと心から思えた。
読後は幸せの余韻が残る。
【PIPO特別賞】…5名
●sayuriさん(15357)
『蛍たちの祈り』
町田そのこ 著【東京創元社】
◆心揺さぶられる作品を読みたい方へ
苦しかった。
子供は親を選べない。
生まれながらにして親が犯した罪を背負って生きていかねばならなかった正道の心中を想像しただけで胸が締め付けられる。
親ガチャに外れたとか毒親に当たったとか、そんな言葉で割り切る事が出来ない彼の人生。
奇跡に導かれたような隆之との出逢いで正道の未来に希望の光が見えた瞬間、涙が溢れた。
誰もが声に出せない痛みを抱えている。
互いに共鳴しあい支え合う彼らの関係性は家族以上に家族だった。
子供にとって、親は絶対的な存在で拒否という選択肢はない。
生まれ来る子供たちに蛍たちの祈りが届きますように。
●sayuriさん(15357)
『今日未明』
辻堂ゆめ 著【徳間書店】
◆イヤミスの傑作を読みたい方へ
私が最近、大注目している辻堂ゆめさん。
本作も期待を裏切らない。
テレビから流れて来る「今日未明…」から始まるアナウンサーの声に不穏な響きを感じるのは私だけではないだろう。
描かれている5つの事件はどれも悲惨で、この作品を面白かったと言うと語弊があるが、ミステリーとして秀逸で文句なしに面白かった。
なにか事件が起きると私達は報道された事実だけを見て加害者を責め立てる。
そこには先入観や思い込みが多分に含まれ、当事者にしか分からない真実がある事を忘れがちだ。
事実が真実とは限らない。
驚愕と悲嘆、感情が揺さぶられる傑作。
●橘葉さん
『大名倒産』
浅田次郎 著【文藝春秋】
◆自分と他人とを比べてしまったり、いまいち自分の仕事に誇りや意義を感じらなかったり、と悩むことがあるが、今やるべきことを頑張りたいと思う人
凡人すぎる主人公・小四郎が、借金を背負わされ切腹要員として家督を継がされるも、誠心誠意、その返済に取り組む。
しかもあっと驚くような華麗な手法ではなく、すごく地味で泥臭い方法で。そんな小四郎の活躍で、私が一番好きな場面は、家臣一同畳の上で算盤をパチパチする所だ。彼はその中で、命令するのでも、オロオロするのでもない。誰よりも一生懸命悩み、計算し、算盤をはじくのだ。
なんだか一生懸命お仕事をしたくなってしまう。頑張りたいと素直に思える。そんな気持ちにさせてくれる本だ。
仕事や日々の生活に一生懸命に取り組んでいるつもりでも、自分と他人とを比べてしまったり、もっと華やかでやりがいのある世界があるんじゃないかって思ったりすることは、あると思う。
そんな時、小四郎の姿を思い出すと、派手なもの、楽なものに余所見せず、今、目の前にある問題に真撃に取り組みたい、という気持ちになってくる。「皆の者…」と、共に奮闘してくれる小四郎の声が聞こえてくるようなこの本が、私のおススメです!
●てんこさん(595)
『香君』
上橋菜穂子 著【文藝春秋】
◆ファンタジー好きな人に
母から受け継れた能力・香りをひと一倍強く感じとる事のできる少女 アイシャ。
この世の動物・植物は自分の放つ香りで、お互いを助け合って生きている。この事に気付きやがて「香りと話し」香りと共に生活していく事の生き辛さや楽しさが折り込まれている。
その能力が有る事で混乱している国を納めようとする国王をも、いち目置く『香君』としての地位につく。 自分が望んだのではなく、その能力があるがゆえ、回りから神のようにあがめられ進まなくてはと悟り、前向きに、素直に生きようとする。まだまだ困難はたちはだかるだろうけど、香りに助けられ回りの人々に助けられ生きていく姿にファンタジーではなく現実感を味わう事ができる。
●すぎささん
『八月の銀の雪』
伊予原新 著【新潮社】
◆自分に劣等感を感じている人
目に見えない不安と闘っている人
2024年に「藍を継ぐ海」で直木賞を受賞した伊予原新さんによる5つの短編集。
見えない線で区切られがちな社会構造の中での諦め、迷い、辛さ、孤独感などから不安を抱え劣等感を持つ主人公が、飾らず自分の身の丈で生きる人との出会いによって前向きになる姿を描いている。
真骨頂はそこに伊予原マジックともいうべき自然科学を融合させるところ。その中に前向きになるヒントを散りばめ主人公の心にサラリと科学反応をさせるテクニックに引き込まれる。読み手が心の中に持つ不安や弱さによって5編の中で共感する話はそれぞれ違うであろうことも面白いと思う。
なんだかんだでひたむきに自分の今できることを背伸びせず「将来のため」ではなく「今を」生きている姿が人の心を動かすのだと気づかされる。
私自身も我が子の将来のために何ができるかではなく、この子に何が実るかと考えるきっかけとなった。私が自信をもっておススメします。
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